コミュニティに参加することは、個人と組織の未来の関係を先取りすること~TechLION vol25プレゼン後

  1. コミュニティに参加することは、個人と組織の未来の関係を先取りすること~TechLION vol25プレゼン後

TechLION vol.25

#techlion

イベントは開演前には満席の盛況ぶりでした。ご参加いただいたみなさまありがとうございました。

わたしのテーマは、WebSig24/7を運営してきていることから、「Webのコミュニティについて」で継続とか気づいたこと、というキーワードをもらっていました。

最初は、WebSig24/7を運営してきて得られた個人的な体験や気づいたことを話させてもらおうかと思っていました。

ただ、エンジニア向けのトークイベントなので、オープンソースコミュニティに参加されて、実感としてその意義を感じられている方もいらっしゃるだろうな、と思ったのと、少し検索してみると、コミュニティに参加するメリットを書かれている方もそれなりにいます。じゃあ、違う視点でももうちょっと自分でも深ぼってみようと。

意義やメリットの代表的なところは、個人・会社だけでは学べない知識や経験が得られる、モチベーションがあがる、仲間、人脈ができて個人的なつながり、仕事のつながりができるなどでしょうか。

わたし自身も、おとなになってから、仕事ではなく、利害関係もない関係で出来た人との関わりそのもの、活動のプロセスで考えたことはすごい資産になっています。ほんとにかなり。

(25回目、登壇者100人目という記念の会ということで、わたし、デジタルスケープ林さん、アスキードワンゴ編集長の鈴木さん、エンジニアtype編集長の伊藤さんでお話させていただきました。ガッツポーズはTechLIONのポーズということです。慣れないから固い...)

上記で書いたような得られたものは結果としてついてきますが、この結果を当初から期待して動いたわけでもないし、得られるものも長く運営していると減衰もしてくることもあります。また、それ以上に正直めんどくさいこともいっぱいあります(笑)

自分がいる業界が健全に発展して欲しい、一緒に課題を考えていきたい、という思いが立ち上げからベースにはあります。(当初のタグラインは、Webに関連するマーケットの健全な発展を促し、人々の生活を豊かにすることを目的とした任意団体)としてました。

今回、WebSig24/7の変遷で自分が体験したことを改めて振り返ってみて、もう1つ、コミュニティを運営していくなかでいままで言語化していなかったけれど、興味があったんだな、ということがあることに気づきました。

それは、コミュニティに参加することと未来の「個人」と「組織」の関係性についてです。

要点をさきに書いてみると、

■未来でおきることその1
コミュニティを「個人」が「自由」に複数、選択可能な社会になる

■未来でおきることその2
社会性をもったコミュニティ、組織が主力になる

というおきること2つの未来予測に対して

いまIT/Webまわりのコミュニティは未来の個人と組織の関係を学べるよい実験場になっている。

そこで、より良い体験をするために、

■個人で出来る範囲を本気でコミットしてみる(≒自由な場で責任をとる)

ということです。

コミュニティを「個人」が「自由」に複数、選択可能な社会になる

わたしを含めて、みんな多くの組織、集団、コミュニティに所属しています。
そして、組織には、「共同体」と「機能体」の2つがありますといわれてきました。

組織には「共同体」と「機能体」があり、本来この二つは機能も目的も違う。
従って、組織の管理運営に当たっては、この区別を明確に意識している必要がある。
共同体は家族、地域社会や趣味の会など。

これに対し、機能体は外的な目的を達成するための組織であり、ここでは組織内部の構成員の満足や親交は手段であり、
本来の目的はプロジェクト完成などの組織外の目的を達成することにある。
企業や研究所は本来、機能体である。

(中略)

共同体とは「構成員の幸せ」を追求するための組織であり、機能体とは「一つの目的」を達成するための組織である。
ところが軍隊、官庁、企業といった機能体が、「構成員の共同体化」する危機は常にある。
『組織の盛衰―何が企業の命運を決めるのか』堺屋 太一 1993

社会学では、ゲマインシャフト(共同体組織)とゲゼルシャフト(機能体組織)といわれたりします。

いま、個人が家族、地域といったような共同体は変えることは難しいですが、企業を代表格とする機能体に対する所属の仕方はだいぶ変わってきています。

生きるために依存的に所属するというところから、個人が複数の組織、コミュニティを選択して所属しはじめています。最近の副業OKという流れやクラウドソーシングなどはわかりやすいところですね。

共同体的な人との関わりも、ネットを中心に自由度、使い分けはどんどん広がっています。自分が興味があるテーマ毎でネットのコミュニティに参加したり、もっと身近なところだと、Facebookで公開範囲、Twitter、メッセンジャーも使い分けが進んで、そこでのコミュニケーションや人間関係も細かく選択されています。

機能体、共同体どちらも出入り自由で複数使い分けるような流れになっていく流れです。

(MCの法林さん、馮さんにツッコミをもらいながらというはじめてのスタイルでした)

社会性をもったコミュニティ、組織が主力になる

企業という機能的な組織も社会性をもったビジョンを持ち、そのビジョンにから具体的な企業活動へのひも付きが重要視されるようになってきています。

これは1つ目からの流れで、生きるために企業に所属する人が少なくなってきた時に、なぜ、そこの会社で働くのか、そこの会社はなにを実現させたいと思っているのか、ということが働く上で重要視されてきています。

コミュニティは極端な存在

ただ、2016年現在では、一般的な企業における個人と組織の関係は「雇用」です。そこには当たり前ですが給与が発生します。人が動く理由にこの雇用と給与ということはいままでシンプルな構造として機能してきました。

これがすぐに変わることはありません。でも、社会はゆるやかに変化してきている。
そういった中で、コミュニティには雇用、給与、上下関係すらないなかで動く組織もあります。

コミュニティはこれからの未来の個人と組織の関係を体験できる極端な場のだなと。

会社を経営するなかで意識はしているけれど、会社という枠組みではまだできないことがある。
けれど、個人と組織のあり方は変わってきている。

それを、WebSig24/7という社会性がある制約がない個人間のコミュニティに関わることで
トライアンドエラーしている側面もあったのだなと気づきました。

WebSig24/7の活動で、Web業界そのものや個別テーマに対する興味が薄れるタイミングは
何度があるのですが、変化させていっているのは、個人と組織の未来というテーマでの
模索なのだなと。

個人で出来る範囲を本気でコミットしてみる(≒自由な場で責任をとる)

企業活動とコミュニティ活動の境目がなくなる、ということもこれから普通になるかもしれません。まだ限定的ではありますが、研究分野や企業のOSSへの取り組みなどでは既にその側面も出てきています。

そんな、自由な環境において、個人がどのように組織、ほかの人とかかわっていくのか。そんなことにつながる、ヒントがいまコミュニティに関わることにあるのかもしれません。

そこで先取りしてより良い体験をするコツは、
個人で出来る範囲を本気でコミットしてみる(≒自由な場で責任をとる)ことかなと。

参加させられる所属ではなく、個人として参加すること、そこで個人として、出来る範囲で出来ることにコミットすることから得られるものは、冒頭の通りいっぱいあります。

まだ未体験の人はためしてみるのはいかがでしょうか?

追記

振り返るのが怖くて(笑)ハッシュタグを追ってなかったのだけど、モデレーターを一緒にやってるえふしんさんがこんなTweetをしてくれていた。

プレゼン中に、「ということを昨日考えたんです」と何度か言っていたら、質問タイムに「ゆうべ何やってたんですか?」って質問を受けて、あたまが???ってなり、よくわかんない答えをしてしまいました。

なにか、昨日、こういったことを考えさせられる出来事があったのか、という質問だと理解できず(笑)。改めてだと、普通にただ話すことを考えてました。

なんで昨日思ったんです、と言ったかといえば、ずっと前からこんなことを考えていて、明確な答えみたいなことがわかって動いていたわけじゃない、というニュアンスを伝えたかったということでした。

今回の話は、具体的なやってきたことを振り返りながら、それを抽象化してみたらどうなんだろう、という思考を繰り返してました。

そうしたら、組織の「共同体」と「機能体」という分類に行き着き、コミュニティにとって、機能体的から共同体的になるのは衰退なのか、WebSigでは??、また、この2分類はこれからも適切なのか、とか考えてたら夜が明けました(笑)なので、正直答えというより、気づきレベルのお話しです。

ただ、こんなことを考えること自体が、こういったきっかけがあったり、それこそコミュニティ運営のように正解ということやセオリーが出来てないものに関わってないと、わたしはなかなか本気で考えないので、苦しいですがおもしろいことだなとは思います。

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