中小中堅ECサイトの成果を上げる「メディア編集力」~第29回WebSig会議(後編)

  1. 中小中堅ECサイトの成果を上げる「メディア編集力」~第29回WebSig会議(後編)

前編の続きです。

ec_how.jpg
ECの「買い物ができるメディア化」としてメディア編集力を具体的に展開していくために3つのポイントを紹介していただきました。

1:編集方針
2:企画制作ノウハウ
3:仕組み/組織

1:編集方針
1つ目の編集方針は「誰に」「どんな切り口で伝えるのか」。
誰にの部分はいわゆるターゲティングの話ですね。どんな切り口というところを「商品価値」として捉える。

ec_hobonichi0.jpg

そのものの価値(特にスペック)に対して、どのような情報を乗せて(または切り口で)どうやって生活者に届け、心を動かすのかがコミュニケーションデザインそのもので、マーケティングの1側面です。
青木さんはほぼ日手帳を例にこんな風に因数分解しました。

ec_hobonichi1.jpg

汎用化したマトリックスがこちら。
ec_matrix.jpg

ほぼ日の例でいくとメーカーだからこそ出来る情報部分があったり、糸井重里という人格が全行程で強烈に作用するわけですが、今回の企画意図でも重要だった「仕入れ商材≒モノそのものでは差別化できない」という部分で、仕入商材で展開するクラシコムさんの使用例はこちら。

ec_matrix2.jpg

マトリックスというとマス目を埋めていくようなイメージですが、使い方としては注力範囲をマッピングしていくというようなイメージです。

使用例の競合の注力範囲にもある通り、多くの企業はスペックそのものやその商品のバックグラウンドに重きを置く傾向が強いですね。もちろんそこでも戦いようはあるのですが、モノが一緒だったらそこはすぐにマネ出来るし、特にネットだとコピペされて終わりなんてところもあります。いわゆるメーカーさんからの商品情報データをそのまま掲載しているようなパターン。

「提案」、「参加」が買った後になっていますが、実際は買う前から、買った後を想像出来るということが大事なんだと思います。マーケティングの教科書に出てきそうな話ですが、自分の生活の変化や起こる事柄を想像しやすく提案してあげるというところ。

ちょっと話がターゲットの話とも関係しますが、私が昔から頭の整理でよく使うシストラットの森さんがシンプルマーケティングの中でいっている「プロダクトコーン理論」を思い出しました。

戦略理論・調査手法 > プロダクトコーン理論
http://www.systrat.co.jp/theory/theory01pcorn.html

こっちもあわせて使うとより頭が整理されると思います。情報を伝えるときに、どこの価値を持ち上げて伝えるのが良いのか。メディアであれば、そこに一貫した「編集方針」ということそのものが価値になっているのかというのが大事ですね。書く人によってそこがぶれちゃダメということで。


2:企画制作ノウハウ
ec_how2.jpg

マトリックスの「人格」+「エピソード」部分がカギ。つまり「誰」から買っているのか、誰の話に興味を持っているのか。

「ソーシャル」と「CGM」の部分の違いは河野さんのコメントがわかりやすいので引用させてもらうと。

ec_how3.jpg

http://smashmedia.jp/blog/2012/03/003830.html
それこそネット業界の人たちだと「ユーザーに書いてもらえばいいじゃん」という話になりやすい。でもちがうんですよ。ぜんぜんちがう。

顔の見える「スタッフが」書いているところがポイントなんです。またそうなるようにブログやメルマガなどを使ってスタッフのキャラをちゃんと見せてる(確立している)ことが前提条件になるので、「中の人」が書きゃいいってわけじゃない。

まずは自分たちで(または外部でもこの考え方の元)ということを基本的な考え方としないと大抵はうまくいかないと思います。
ユーザーに書いてもらうのでも、人格とエピソードをそれこそソーシャルと連携して、例えばベストレビューアーなどの仕組みとあわせて近しい効果を出すことは出来ます(Amazon、@cosmeなど)。

ただ、この仕掛けをつくるのはコミュニティをつくるということで、それこそ自分たちの努力はもっと大変なのと(最近のゲーミフィケーションはここらが取り上げられますね)、そんなにタイミング良く、料理なレビューやコメントをユーザーがしてくれるわけがない、とう前提に立たないとです。ここはマトリックスでいう「信頼」として使おうというほうが私も賛成です。


3:仕組み/組織
ec_how4.jpg

個人的に一番刺さったのがここです。ブレストではどんどん広げればいいんですが、身の丈と実態に合わなくなったりすることは良くあります。

1:工数が少ない
2:売上に直結
3:(顧客)ロイヤリティ向上
4:福利厚生・採用
5:新規事業開発

のうち少なくても2つ、できれば3つを満たすものしかやらないとルール。

1つだけじゃなく、掛け合わせなのでブレストするときに阻害することもなく、後でどれどれ、これは1つかな、これは3つかなと出来そうでいいです。

河野さんがほぼ日でもルールがということで、「ほぼ日刊イトイ新聞の本」を引っ張り出してきたんだけど見つからず、耳折りしてたページでほぼ日で書くときに気をつけている3つがあったのでメモ。
1:誰が言っても同じことをなるべく避ける
2:わからないことはわからないまま書く
3:あまりにもつまらんと思ったら、もうひとつ書く
このあたりのルールを守っていると書くのが嫌じゃなくなる。ということでした。なるほど。


いつも企画側ではありながら、勉強になっているWebSigですが、今回はよい気づきをいっぱいもらえました。青木さんはモノゴトの視点を俯瞰的に見つつ、因数分解するのがホントにうまいです。私は話しながらだんだん整理されていくタイプなんですが、あまり因数分解や図式化がうまくないので、企画段階から話しているときも役割分担的なところが楽しかったです。

仕事にもフィードバックしつつ、今回扱えなかったところも結構あるので小さな企画で少し続きをやろうとも思ってます。

サービスに関するお問い合わせ

マーケティング、フロントエンド、バックエンドの知見と経験で、企業と生活者のより良いコミュニケーションをご提案します。

チームを円滑に動かすプロマネ術